本日紹介するのはベテラン少女漫画家・河惣益巳の大河チャイニーズファンタジー「火輪」です。
ストーリー・・・雷を呼び海を分け地を割るという伝説の神剣「竜王剣」が何者かに昇竜山より持ち去られた! 昇竜山の主で白真珠の化身の女仙人白玲娘々に育てられた半神半人の少年ラン・リーアンは、天界・仙界の者は人界に関わってはならないという掟のために動くことのできない白玲娘々の代わりに人界へ降り立つ。そしてリーアンが人界に降り立ったことを切っ掛けに、彼の人生と天・仙・人界の歴史は大きく動き始めるのだった。
唐突ですが、皆さんは漫画を読んでて思わず「騙されたー!!」と叫びたくなるような経験をしたことがあるでしょうか? 店長は余り伏線とか細かに読み解くタイプではないので、(はっきり言えばあまり頭がよくないので)結構あります。そんな経験の中でも一番「良い意味で騙された」のがこの「火輪」です。
あらすじに「東アジア大陸・華王朝の時代」と明記されていたり、天・仙界の者は人界に直接的に関わってはならないという掟があったり、清源妙道真君や竜吉公主が出てきたりするところからもわかるように、このお話は封神演義をモチーフにして架空の古代中国を舞台にしているのですが、これもよく考えると凄いことだったりします。今でこそ中国風世界観のファンタジーモノは珍しくありませんが、火輪の連載が始まったのは平成4年(1992年)。藤崎竜の漫画版封神演義がヒットするはるか前。今とは違い「チャイニーズファンタジー? 何それ?」みたいな状況でしたから。ブームを先取りしていたという意味でも河惣益巳は凄いですが、しかし一番凄いのはやはりそのストーリーテリング能力でしょう。
火輪の物語は、一つの謎が解けるとまた新たな謎が現れるというストーリー展開になっているのですが、これがもう素晴らしいのです(まぁご都合主義なところもちょっとあるけど)。
詳しくは言えませんが、作中のあるキャラがあるキャラに病的なまでに執着することにもきちんと理由があったりと、緻密な計算の基に組み立てられた物語は謎が明かされた後読み返すと「あーっ、成程」とうなずきたくなるような見事な出来ばえになっております。
特に終盤は素晴らしいというか凄いというか。最終回1話前の最後のコマの衝撃たるやもう筆舌に尽しがたい。「私にできぬことなどないのだから!!」とか○○が言っちゃうし!! 店長は連載当時リアルタイムで読んでたので、次の号が待ち切れなくってもうマジ困りました。
絵柄がか〜なり特徴的なので、万人にオススメとはいきませんし、物語より絵を重視する人は受け入れられないかもしれませんが、そうでない方には文句なしオススメです。


